米ソ冷戦を扱った政略級ボードゲーム『Twilight Struggle(トワイライト・ストラグル)』(GMT/2005年)は、世界地図とイベントカードと影響度カウンターを用いた2人用の陣取りゲームです(軍事ユニットはありません)。ルールやカードは日本語訳が公開されてます。BoardGameGeekで最も評価が高い2人用ゲームとされています。
世界地図ボードには国や地域が描かれており、プレイヤーは配られた何枚かのイベントカードから「作戦値を行使する(影響度の増減、クーデター、宇宙開発)。もしくは自陣営に有利なイベントを発生させる」または「作戦値を行使する。そして敵陣営に有利なイベント発生させる」を選択しつつ勝利ポイントを稼ぎます。相手に有利なイベントのいずれを受忍するかが非常に悩ましいです。悲劇的なことに、対立や緊張を避けて弱腰外交を続けてると威信(勝利ポイント)を失ってしまいますし、緊張が高まった状態でクーデターや軍事イベントを発生させると核戦争になってゲームに敗北してしまいます。
ゲームバランスはソビエト側がかなり有利です。初心者が経験者を相手にしても序盤だけは互角にプレイできるでしょう。その一方で、アメリカ側は中盤まで耐えて耐えて凌がねばなりません。経験者同士なら、中国内戦ルールは導入した方が良いと思います。
自陣営に有利なイベントカードをできるだけ除去しないようにプレイすると、自陣営に有利なイベントカードの密度が高まります。
初心者にインストするなら、例えば「地図は欧州だけ使用。カードは欧州関連のみ。宇宙開発なし。デフコン値に関わらずクーデターや影響度減少が可能。初期配置は英5西独3仏3土1と東独3芬1波2墺2。3ターンで終了」のような設定でプレイしてみてはいかがでしょうか。やっつけ仕事(昼休み2回分)ですが、専用の欧州マップを作ってみました。ゲームバランスはまだ検証していないので適切なハンディ設定が必要になると思います。
影響度カウンターはしばしば赤青のサイコロで代用されます。支配状態か否かはサイコロの違いで示すことができます。もともとサイコロはたくさん持っているので余裕です。その他のマーカーも何かで代用できるので、付属のカウンターシートは全く切断せずに済みます。
以前にプレイした通常版と比べると、このデラックス版(第4版)はボードの品質が段違いに良いです。カウンターやマーカーも厚みがありますが、他のもので代用するのであまりありがたみはありません。
VASSALモジュールも公開されてます。
PCゲーム『バランス・オブ・パワー』(Chris Crawford)はシステムこそ大きく異なりますが同じテーマを扱ったゲームです。学生時代によくプレイしてました。記念にマニュアルと付録論文集だけ残してあります。ネットでWindows版『Balance of Power 1990』が公開されてます。