子供の頃に何かの本で「インドの王様が石畳にゲーム盤を作らせ、カラフルな民族衣装を着せた奴隷女たちを駒にし、子安貝を振って遊んだ」というエピソードを読んだ憶えがあります。インドの宮廷史によると、その王様とはムガール帝国のアクバル大帝(Akubr,在位1556年〜1605年)のことです。百数十人が少なくとも16回のゲームに参加し、ときには3ヶ月にも及ぶことがあったそうです。アクバル大帝は、パンチ・マハルの上から競技者たちの腕前をみて採点するのを好んだとのことでした。もちろん参加は強制です。…すごく迷惑な王様ですね。
そのゲームが『Pachisi』です。『Pachisi』はインドの国民的ゲームです。直方体4面ダイスを振るchausar(複雑なルール)と、子安貝ダイスを振るcaupur(簡易なルール)のバリエーションがあります。少なくとも4世紀にはこのゲームの原型があったらしいです。
1896年にルールを簡易化したものが『Ludo』(セルコー&ライター社)として欧米に紹介されました。ludoはラテン語で「遊ぶ」という意味です。ダイスは1個だけ振ります。
日本では戦後に『飛行機ゲーム』として市販されたのが最初だろうと思います。『ロケットゲーム』もありました。現在では100円ショップで『Ludo』を見かけることもできます。
『Pachisi』の一般的なゲームボードは布製です。サイコロは子安貝6個。そして、カウンタはミツバチの巣箱形で木で作られています。
4人で遊びます。ペアを組んでのチーム戦にすることもあります。プレイの目的は、自駒4個をそれぞれのスタートエリアから外周マスに入れ、外周マスを時計回りに一周させ、そして中央のゴールエリアに入れることです。
自分の手番にはサイコロ1個を振ります。
外周マスにいる自駒をその目だけ進ませることができます。但し、既に自駒がいるマスには入れません。また、敵駒がいるマスに入るときは、その敵駒をスタートエリアに戻します(但し「城」マスは安全地帯)。
6の目が出たら、駒を進める代わりに自駒1個をスタートエリアから外周マスに入れることができます。いずれにせよ6の目が出たならば、また自分の手番になります。
ルールから容易に推定できるように、プレイは非常に長時間になります。1時間以上かかることも珍しくありません。そこで実際に遊ぶにあたっては、何らかのオプションルール(ダイス2個振り。自駒がいるマスに入れるようにし自コマが複数いるマスに敵駒は入れない。など)を用いるのが宜しいでしょう。