伝統ゲームの『Fox and Geese(狐と鵞鳥)』は、「雑魚の大群で強大な1体に挑む」というコンセプトのボードゲームです。ガチョウはキツネを追い詰めて動けなくすれば勝ち、キツネはガチョウをたくさん仕留めれば勝ちです。
このゲームは、8世紀頃のアイスランドにて、『Tafl』のヴァリアント「Freystafl」として成立したものと思われます。13世紀のフォンズ王の文書にも記されています。イギリスでは15世紀に広まりました。船乗りたちによって各地に広められました。類似するゲームが世界中にあります。
ゲームボードは、イギリス式『ペグ・ソリテア(Peg Solitaire)』盤を用います。フランス式『ペグ・ソリテール』盤とは形状が少し異なります。フランス式を用いてもプレイできますが、おそらくキツネが圧倒的に有利になるでしょう。
ゲームボードは、入手するのも自作するのも容易です。100円ショップでもしばしば売られています。複数のボードゲームをパックにしたものの中に入っていることもあります。
キツネ駒とガチョウ駒(13個以上)は、ゲームボードに付属しているものを用います。たいていは、キツネ駒として用いることが出来るように、異なったデザインの駒が1駒だけ付属しています。もし必要なら、自分で目印を付ければいいことです。
初期配置は画像の通りです。ガチョウ側が先手です。
7654321 ・・□□□・・一 ・・□□□・・二 □□□狐□□□三 □□□□□□□四 鵞鵞鵞鵞鵞鵞鵞五 ・・鵞鵞鵞・・六 ・・鵞鵞鵞・・七
ガチョウ側プレイヤーは自分の手番に、任意のガチョウ1羽を隣接する空マスに移動させます。
キツネ側プレイヤーは自分の手番に、隣接するガチョウ1匹を飛び越えてそのガチョウを除去します。もし移動先からも可能ならば、連続して何匹でも除去しなければなりません(強制捕獲)。もし、手番に1匹のガチョウも除去できないならば、キツネを隣接する空マスに移動させます。
キツネが身動きできなくなったらガチョウ側の勝ちで、包囲が不可能になったらキツネ側の勝ちです。千日手はキツネ側の勝ちです。
古典的なルールは「ガチョウ13駒、キツネ中央配置、縦横斜め移動可能(文献によっては縦横のみ)、強制捕獲」です。また、現代で多く用いられてるルールは「ガチョウ17駒、キツネ中央隣配置、線上のみ移動可能、ガチョウ後退不可、強制捕獲」です。なお、多くの和訳では、強制捕獲ルールが明記されてないので注意が必要です。
ボードと初期配置を画像のものに換えると『将校とセポイ』または『突撃ゲーム』になります。将官コマは連続した複数の兵士コマを1回で飛び越えることができます。兵士は後退できません。将校を詰めるか、城郭9マスを占領したら、兵士の勝利です。
ボードと初期配置を画像のものに換えると『16 Rebels(16人の反逆者たち)』というゲームになります。ボードは他の種類もありますが、ルールはまったく同じです。
『16 Rebels(16人の反逆者たち)』において「飛び越えて除去できる」の代わりに「2駒に挟まれる位置に移動したらその2駒を除去できます。但し、除去は手番に1度だけです」にすると、『十六ムサシ』というゲームになります。これは日本で考案されたヴァリアントです。
ボードの三角形の部分が無いもの(つまり正方形ボードのもの)は『
超高性能コンピューターにプレイさせれば、おそらくはガチョウ側の必勝だろうと予想しています。でも、人間にとってその手順は不明です。
強制捕獲のルールにおいてキツネを詰める形にもっていくには、ガチョウ5匹が必要です。
完全情報ゲームの特性ゆえ、初心者と熟練者とで対戦すると熟練者が圧倒的に強いです(そして、「雑魚大群対少数精鋭の非対称ゲーム」で適切なハンディを設定するのは難しいです)。また、雑魚の大群を上手にプレイするのは初心者には難しいです。従って、熟練者同士でプレイしなければ面白くないと思います。
その他。
チェス盤とチェス駒を用いた同名のゲームがあります。初期配置は画像の通り(Pawn=A1,C1,E1,G1;Knight=E8)です。ポーン側が先手。2個または3個以上のポーンを向こうまで到達させること」と「それを阻止すること」が目的です。
このゲームのセットを用いた『ペグ・ソリティア(ボール・ソリティア)』という有名なパズルがあります。いずれの駒も縦横にのみ飛び越えて他の駒を除去することができます。最後に1駒だけを残すことが目標です。
「全滅?12機のガチョウが3分で全滅だと??」
「連邦のキツネは化け物か?」
以下のサイトや文献を参考にしました。