『Dodgem(ドッジェム)』は、コリン・ボウト氏の考案による2人用ゲームです。松田道弘氏の『世界のゲーム事典』(1989年。東京堂出版)で紹介されてます。一見すると簡単なくせにやってみると意外な奥深さがあるゲームです。
縦3横3マスの盤と黒白2個ずつの駒(車両を表す)を用います。駒の初期配置は以下の通りです。先手の駒(●)は画面右方向を向き、後手の駒(○)は画面上方向を向いてます。
321 ●□□一 ●□□二 □○○三
手番は交互です。自分の駒1個を左右前いずれかの空マスに1マス移動させます(●は画面の右か上か下に、○は画面の上か左か右に)。相手を移動不能にしてしまったら負けになります。自分の駒2個を向いている方向に盤外脱出させたら勝ちです。千日手は引き分けになります。
実戦の棋譜をここに書き込んでおきます。「意外な奥深さ」を感じるために、是非とも実際に並べてソロプレイしてみて下さい。
321 ●□□一 ●□□二 □○○三
なお、3一の駒をAと、3二の駒をB、2三の駒をCと、1三の駒をDと表記します。
「2二▲B」。
●□□ →●□ □○○
ここで「3三△C」は「1二▲B」「(any)」「2一▲A」「(any)」「1一▲A」で後手が負け。
そこで「1二△D」です。
●□□ □●○ □○↑
「2一▲A」。
→●□ □●○ □○□
ここで「1三△C」は「1一▲A」「2三△C」「2一▲C」「*」「上がりA」で後手の負けです。「*(any)」が「1三△C」なら「上がりA」「1一△D」「2二▲B」「1二△C」「2三▲B」で後手の負けです。「*」が「3三△C」でも「上がりA」「1一△D」「2二▲B」で後手の負けです。
また「3三△C」は「1一▲A」「2三△C」「2一▲C」「*」「上がりA」で後手の負け(*は先述と同様)。または、「1一▲A」「3二△C」「2三▲C」「(any)」「1三▲B」で後手の負け。
そこで「1一△D」となります。
□●○ □●↑ □○□
「1二▲B」。選択肢はありません。
□●○ □→● □○□
ここで「上がりD」は「上がりB」で後手の負けです。
ここで「3三△C」は「2二▲A」で後手の負けです。
ここで「1三△C」は「2二▲A」「上がりD」「2一▲A」となるか「2二▲A」「2三△C」「上がりB」で後手の負けです。
そこで「2二△C」となります。
□●○ □○● □↑□
ここで「上がりB」は「1二△C」と対応して先手の負け。
そこで「1三▲B」です。
□●○ □○↓ □□●
「上がりD」は「上がりB」で後手の負けです。
「1二△C」は「上がりB」で後手の負けです。
そこで「3二△C」です。
□●○ ○←□ □□●
何を指しても「3一△C」で先手の負けになります。
先手の投了。先手の敗因を考えると、初手または第3手にあるようです。
完全情報ゲームですから「先手必勝」「必ず千日手で引き分け」「後手必勝」のいずれかになります。そこで、コンピューター同士で十数回ほど試しました。すると、全ての試行が約20手ほどで同様の結果になりました。
321 ●□□一 ●□□二 □○○三
321 □□●一 ●○□二 □○□三
321 □○□一 ●□●二 □○□三
321 □○○一 □□□二 □●□三
どうやら、このゲームは「先手必勝」のようです。
なお、初手「2二▲B」は後手の勝利に、初手「3三▲B」は後手の勝利になるようです(いずれも十数回の試行による)。なお、他にいくつかの序盤を試しましたが、いずれも千日手にはなりませんでした。
先手必勝といっても、ものすごい綱渡りです(一見すると後手が勝ちそうな局面が何度も出てきます)。