シルエットパズル

シルエットパズルについての覚え書きです。難易度などはあくまで個人的な評価です。

シルエットパズルとの出会い

シルエットパズルと出会ったのは中学生の頃でした。伊香保の旅館で見かけたのが最初です。その後に『Play Puzzle ― パズルの百科』(高木茂男/平凡社/1981年)でそれがどんなものか理解しました。社会人になってからいくつか買い込み、更に2007年頃からまた買い込むようになりました(その頃のコレクションの画像)。その後ちょっとした縁があって小動物たちにいろいろ教えることになり、『タングラム』や『TheF』などをそれぞれ10セットほど揃えました(ほとんど彼らにプレゼントしたので今では少ししか残ってません)。

デザインと難易度について

デザインと難易度の関係について考えてみました。

パーツ数が多いものは単純に難しいです。ただし、解が増える場合は逆に簡単になることがあります。

凹多角形などトリッキーなパーツを含むものも難しいですが、そのパーツをどのように使うかを最初に考えることで指針が見えてきます。『theT』や『Insite』が典型です。

パーツに曲線を含むものは、そのパーツをどこに配置すべきか分かりやすいので概して簡単です。難易度を下げすぎない為にパーツ数が多くなる傾向があります。

シルエット内部に3パーツ以上の接点を持つ問題は難しいです。鋭角を含むパーツが多いものはそのような問題を作りやすいです。『Devil』や『Sphinx』が典型だと思います。また、凸多角形は必然的にそのような接点が多くなります。

伝統的なシルエットパズル

日本でよく知られているものをいくつか紹介します。

『タングラム(Tangram)』

難易度=★。問題数=★★★★★。

『タングラム(七巧図)』は4000年ほど前の中国で発祥しました…というのはもちろんウソです。18世紀に中国で『蝶翅几』から発展したものと考えられます。

直角二等辺三角形をベースとするおとなしいパーツばかりなので難易度は低いです。幼児教育に適してます。

『ラッキーパズル(LuckyPuzzle)』

難易度=★★。問題数=★★★★★。

「十字架」型を作るクロスパズルの一種です。日本で昭和初期(昭和3年?)に発売され、現在でも容易に入手可能です。問題の数は非常に多いです。原題たる「十字架」型は、大きい方の台形ピースの使い方が分かれば簡単です。

『清少納言の智慧の板』

難易度=★★。問題数=★★★★。

wikiによれば、寛保2年(1742年)に『清少納言知恵の板』という書籍が出版されたそうです。どこが清少納言なのかよく分かりません。日本に伝搬した『蝶翅几』か『七巧図(タングラム)』が発展したものだと思ってます。現在では『脳トレ対戦ゲーム清少納言』(ビバリー/2014年)などが入手可能です。

「回」型が作れるのは面白いと私も思います。

ペントミノ(Pentomino)

難易度=★★。問題数=★。

正方形5個を辺で接続した12種類のパーツを用いて長方形などを作成するもの。1980年頃だったか、テンヨーのプラパズルを解いたのが最初だと覚えてます。たまたま目についた古谷三敏のマンガで「ペントミノ(3×15)の解は2通りしか存在しない」と知ったのもその頃です。

アンカーパズル(Anker)

1880年代にドイツのAnker社から模造石でできた何種類かのシルエットパズルが発売されました。現在のシルエットパズルの多くはこのアンカーパズルのシリーズがベースになっています。

Nobパズル

芦ヶ原伸之らによるデザインのシリーズです。『銘木パズル』(D1プロダクツ)あるいは『匹見パズル』(ウッドペッカー)として知られてます。『銘木パズル』の材料は南方の銘木です。手触りや響きがとても良いです。ただ、ロットによって材料は異なるみたいです。私が見たところ、カリン・タガヤサン・ローズウッド・パドウクなどが使われてます。『パズルの宣教師』(芦ヶ原伸之/ニコリ)によれば、ミャンマーにて仏壇製造の端材を有効利用していたからだとか。『匹見パズル』の材料はブナ(ビーチ)のようです。

『The T』

難易度=★。問題数=★★★。

1905年にアメリカの紅茶メーカーが宣伝の為にデザインしたものが祖先だそうです。パーツ数が少ないので、トリッキーなパーツの使い方が分かれば簡単です。こういうパズルに慣れてない人は最初の「T」を作るのに十数分ぐらいかかるかも。しばしば旅館の部屋で見かけます。

『The F』

難易度=★★★。問題数=★★★。

パーツは3種類2セットで合計6個あります。非対称な問題が多いので、同型パーツといえども使い方が異なることが多いです。いずれもそれなりに難しいですが、この問題が難しかったです。個人的にはかなり好きなシルエットパズルです。

『インサイト(Insite)』

難易度=★★。問題数=★★。

パーツ数5と侮るなかれ。変則的なパーツをどのように使うかさえ分かれば簡単です。たまに100円ショップなどで同じ形のパズル(サンプル)を見かけます。この問題がお気に入りです。

『十字架U(Cross2)』

難易度=★★★。問題数=★★★。

これも「十字架」型を作るパズルです。

『十字架V(Cross3)』

難易度=★★★★。問題数=★。

トリッキーなパーツだらけなので「十字架」型を作るのも問題を考えるのも難しいです。しかしその「十字架」型の難易度は非常に高いです。これは「十字架」型を作るだけのパズルだと割り切っていいと思います。

『ロングラム(Longram)』

難易度=★。問題数=★★★。

『タングラム』を引き延ばしたものです。ベースが正三角形なのでシルエット内部に3パーツ以上の接点を作ることができます。でも、やはりおとなしいパーツばかりなので問題はどれも簡単です。

『ラウンド(Round)』

難易度=★★。問題数=★★。

カーブのある円周パーツの使い方がヒントになります。

『ユークリッド(Euclid)』

難易度=★★★。問題数=★★★★。

島根県の匹見で考案されたものだそうです。けっこう難しいといわれますが、私には簡単でした。この問題がお気に入り。

『ジェム(Gem)』

難易度=★★★★。問題数=★★★★。

アンカーパズル『Ruhig Blut』の改良だそうです。ベースが正三角形なのでちょっと感覚の切り替えが必要です。

『スフィンクス(Sphinx)』

難易度=★★★★。問題数=★★★★。

同名のアンカーパズル『スフィンクス』の改良だそうです。

『デビル(Devil)』

難易度=★★★★★。問題数=★★★★。

アンカーパズル『コボルド』の改良だそうです。本当に難しいです。一部の問題集にあるこの問題は不可能だそうです。

Saburo Oguro パズル

小黒三郎によるデザインのシルエットパズルです。以前はD1プロダクツやミツミプロデュースから、現在では遊プランから出版されてます。

『クロスパズル』

難易度=★★。問題数=★★★。

これもT字パズルの系譜です。『TheT』の上位互換なので『TheT』の問題を全て作成可能です。使われている木材はさまざまです(重量を測ってみました)。

『IVYパズル』(1981年)

難易度=★★★。問題数=★★★。

これも『Play Puzzle ― パズルの百科』(1981年)で知りました。収納用の長方形に組んだときパーツが「I」「V」「Y」に見えることから名づけられたもの…とばかり思ってましたが、倉敷アイビースクエアにちなんで設計されたパズルだそうです。三角形がベースになっているので慣れないと難しいと思います(そして慣れた頃には全て解けているという)。

『ネコと十二支』

難易度=★★。問題数=★★★。

組木パズル『十二支』をシルエットパズルに改作したものだそうです。

『HEY!パズル』

難易度=★★。問題数=★★。

トリッキーな凹5角形のパーツをどのように使えばいいかが分かれば簡単です。

『FPパズル』

難易度=★★。問題数=★★★。

『HEY!パズル』の直角二等辺三角形パーツを二等分したものです。従って、『HEY!パズル』の問題は全て作成可能です。

『ロングIVYパズル』(1995年)

難易度=★★。問題数=★★。

デザイナーのブログによれば、『クロスパズル』と同様に縦2横3の長方形がベースになっているので互いに問題のいくつかを共有できるとのこと。実際にかなりの問題が可能です。

『SHEパズル』

難易度=★★。問題数=★★。

所有してたはずなのですが見当たりません。たぶん誰かにプレゼントしてしまったのでしょう。現在でも販売されているので、何かのついでに改めて入手しておきます。

箱根パズル

ときどき箱根に遊びに行きます。そのときに土産物屋で見かけたパズルです。当地の間伐材(ヒノキ)で造られてます。『箱根山1』『箱根山2』『ホームプレート』『DIDI』『クラウン』『箱根山特別版』の全6種がありますがいずれも程良く初心者向けだと思います。

『DIDI』

『箱根パズル』の一つ。このシリーズの中では珠玉。

『箱根山特別版』

『箱根パズル』の一つ。

その他のシルエットパズル

現在でも新しいシルエットパズルが開発されており、面白いアイデアも見られます。しかし既に多くのシルエットパズルが定番として存在しているので、商売的には難しいと思います。

ARAI Satoshi ( arai@luminet.jp )