Quoridor (コリドール)

Quoridor外箱 Quoridor

オススメボードゲームの一つが『コリドール(Quoridor)』(Mirko Marchesi/Gigamic社/1997年)です。移動妨害という単純かつ伝統的なルールのアレンジですが、初心者でも最初から最後まで「勝つ為にはどうしたらいいか?」を愉しめます。

ルール

ルールを簡単に説明すると、「縦9横9の盤上で相手の移動を障壁で妨害しながら自分の駒を手前中央のスタートマスから向かい端のゴールラインまでより早く到達させれば勝ち」です。自分の手番には「縦か横の隣接マスに移動(他の駒を1個まで跳び越えられます。跳び越えるときに向かいに壁があれば左か右に曲がれます)」か「長さ2の障壁を任意の境界に配置(ルートを完全に遮断する配置は禁止)」します。パスはできません。

2人でプレイする場合は、それぞれ10枚の障壁をストックに持ちます。

ヴァリアント

4人でプレイする場合はペア戦でプレイするのが良いと思います。障壁はペアで共用とします。先にゴールしたプレイヤーが所属しているペアが勝ちます。このヴァリアントはキングメーカー問題を回避します。

用具

5セットあります サイズ比較

Gigamic社の製品は、盤も駒も障壁も木製であり、黒茶を基調とした単純かつ上品なデザインです。標準的なクラシック版(盤26cm,身長30mm,フェンス37x20x4.5mm)の定価は6300円ほどですが、ネットオークションなどで安価に入手できます。

持ち運びに適したミニ版(盤18cm,身長24mm,フェンス30x15x2.9mm)もあります。

中華版

中華版と欧州版の比較

円安の影響が出る前にと、2013年2月にネットオークションで中華版を買いました(ちなみに落札価格2500円でした)。

中華版は欧州版と比べて「いずれもMade in Chinaである」「箱は見分けが付かない」「箱の中の仕切りが厚紙に」「ボードの材質は同等」「ボードのサイズは同じ」「ボード両面にロゴが記されてない」「ボード裏に脚が無い」「加工が甘い」「フェンスの材質はかなり劣る(20枚あたり欧州版47gに対して中華版31g)」「駒は僅かに大きい(4個あたり欧州版8gに対して中華版9g)」「巾着袋にロゴが無く品質も劣る」「マニュアルは冊子ではなく中国語1枚」などの相違点があります。しかし、プレイする分には特に問題ありません。

コリドール・キッズ

コリドールキッズと通常版の箱コリドールキッズ

また、縦7横7のボードを用いた子供向けの『コリドール・キッズ』も市販されてます。ネズミがなかなか可愛いです。円形ボード(直径26cm)の色は旧版が紫色で2010年版が黄色です。フェンスのサイズは長さ50mm・高さ20mm・幅4.5mmです。

プレイ

ルールがシンプルな割に様々な作戦や小技があります。

リード博士の定跡

リード博士の定跡

例えば、盤の左右に抜け道を用意しておいて、相手が向かった側を塞ぐは、相手に大きく手損させる有効な作戦です。「リード博士の定跡」(相手の2歩前の段に障壁2枚を横向きに並べます。まず3列&4列を塞ぎ、次いで中央の5列&6列を塞ぎます。後手の対抗策は同様に先手と点対称に配置する)はこの考え方に基づきます。しかし、確実に塞ぐことができなければなりませんし、自分自身も塞がれる可能性があります。

シラー氏の定跡

シラー氏の定跡

また、自分が通らず相手が通るエリアに障壁を配置するのも効率的な作戦です。「シラー氏の定跡」(互いに3歩進んでから3〜6筋の手前側に障壁を縦向きに配置します)はこの考え方に基づきます。なお、横向きに配置するのも有効な作戦ですが、後になって自分自身がその手前端を通るハメに陥る可能性があります。ちなみに、互いに3歩前進した後に先手が更に移動する手は、後手の前進や跳躍を許すことになって先手不利になります。

私のフェイバリット

新井さとしの定跡

私の個人的な研究によりますが、相手を包むように凹型に配置するのは良い作戦だと思います。序盤から障壁5枚を消費してしまいますが、自分自身が大回りさせられにくくなります。

その他

細かい戦術としては「自分の前方を塞がせない為に敢えて自分の後方を塞ぐ(背水の陣)」「いかにして相手の障壁を非効率的に配置させるか」「相手を跳び越えさせる方向をどう支配するか」などがあります。

所感

終盤は全員が障壁を置けなくなった時点で勝敗がほぼ確定するので収束性は高いです(但し中盤で稀に千日手になる可能性があります)。1プレイあたり10分ぐらいですので、何度も繰り返して遊ぶのに適してます。

なお、3人以上だとキングメーカー問題(勝ち目の無くなった人が「誰を勝たせるか?」を恣意的に決めてしまう問題)が発生しやすいので、2人またはペア戦を推奨します。ペア戦では完全遮断禁止ルールや跳び越えルールを利用してパートナーをサポートすることができるでしょう。また、勝者1人を決めるのではなく敗者1人を決めることにしたり、「同時に複数のプレイヤーがリーチ状態(次に手番が来たときにゴールできる状態)になってはいけません」とするのも一案です。

クラシック版(盤26cm,身長30mm,フェンス37x20x5mm)はゲーム会に持ち込むには大きすぎるので、ミニ版(盤18cm,身長24mm,フェンス30x15x3mm)に買い換えようかと検討中です。自宅用にデラックス版(37cm)が欲しかったのですが既に絶版だそうです。

(2013/02/03追記)ミニ版を買いました。

(2013/02/10追記)クラシック版(中華版)も買いました。

参考

ARAI Satoshi ( arai@luminet.jp )