Balance of Power (バランス・オブ・パワー)

Balance of Power

『バランス・オブ・パワー(Balance of Power)』(B.Knudson/Catalyst/2012年)は、列強6国が19世紀ヨーロッパの覇権を争うボードゲームです。システム的には、パワー(政治と軍事と経済)の三竦みを用いた多人数用の完全情報ゲームです。軍事コマは政治コマに勝ち、経済コマは軍事コマに勝ち、政治コマは経済コマに勝ちます。自分の手番にできることは各パワーごとに「移動and/or攻撃」「増強」「パス」のいずれかです。規定された数の地域を支配することでゲームに勝利します。ぶっちゃけて言えば、多人数が後出しジャンケンで陣取りするゲームです。

完全情報ゲームですので、プレイ人数が少ないほどパズル的なプレイ感になります。また、ソロプレイにも適しています。

ヴァリアント案

Balance of Power

実際にプレイしてみると、テーマから乖離したパズルゲームになっています。特に「軍事2コマと政治コマ1が存在する敵エリアに軍事コマ1で侵入して政治コマ1を除去でき、しかも敵は侵入したコマを撃退できない」というのはとても違和感を覚えます。

そこで以下のようなヴァリアントを考案しました。

準備ターン

人数に応じてこのゲームで使用する国を選びます。

カードなどを用いて、準備ターンの手番をランダム(非公開)に決めます。つまり自分より後の手番の人たちの順序は分かりません。

手番順に、担当国と座席を任意に選択した上で、コマ3個(政治・軍事・経済)を首都マスに配置し、更にコマ3個(政治・軍事・経済)を初期領土内の任意の地域に配置します。

ゲームターン

それぞれのプレイヤーはそのターンのアクション数を決定します。基本は3アクションで、初期領土内に他の国のコマがなければ追加1アクションを得ます。

このターンの手番をランダム(非公開)に決めます。

手番にできることは以下のいずれかをアクション数だけ行います。なお、各アクション終了時にはマス内のコマが3個以下になっていなければなりません。

全滅または首都3種占領された国は滅亡します。滅亡した国のコマを全て除去し、更に首都のコマも除去します。初期配置と同様に6コマを配置し、その後は属国としてプレイします。属国は宗主国に対して攻撃することはできません。

終了条件&勝利条件

「他の色のコマがない母国領土」あるいは「自国が優勢であるマス」が支配地域です。現在の支配地域ごとに1点です。ゲーム中に他国(属国を除く)を滅亡させるごとに5点です。

ターンの終了時に誰かが規定点(30点)に達しているか規定数(例えば2国)の国家が滅亡していたらゲーム終了です。もっとも点数の高いプレイヤーが勝ちます(ただし属国が勝利した場合は宗主国との共同勝利となります)。点数が同じ場合は手番が先のプレイヤーが勝ちます。

ヴァリアント2

このボードと駒を用いて『ディプロマシー』(AH)のようなゲームもできると思います(と言うか、その思いつきがあって買ってきたわけだし)。例えば「各ターンにプレイヤーは規定数のアクションをプロット(行動計画)し、その後に手番(処理順)をランダムで決定する。手番には各プロットを実行するかキャンセルするかを選択できる。もし全てのプロットをキャンセルしたならフリーアクション1回を実行できる」ようなヴァリアントを導入するだけで簡易な外交ゲームになるでしょう。

その他

同名のPCゲームがありますが、テーマは別物です。

ARAI Satoshi ( arai@luminet.jp )